人気ブログランキング |

コンチェルト2号感動の毎日 concerto2.exblog.jp

新潟市西堀前通1のギャラリー蔵織さんの中に移転しました。


by concerto-2
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

「盤鬼のつぶやき」第8回

盤鬼、平林直哉さんからのメルマガ、早くも第8弾が届きました。

頑張るなぁ〜平林さん。他のことでも忙しいだろうに。
実際に電話でお話ししたことがありますが、えらいパワフルな方です。
「なんか復刻して欲しいものがあったら言って!」だそうですんで。
リクエストある方は私までご連絡戴ければ、盤鬼様にお伝えしますから。

では第8回!!今回はクナッパーツブッシュ!!

**************************
盤鬼のつぶやき第8回

クナッパーツブッシュ
1949年のステレオ録音

 ドリームライフから「クナッパーツブッシュ・スペシャル・ボックス」という2枚組(RIPD-0002)が発売された。クナッパーツブッシュ指揮、ウィーン・フィル、曲目はハイドンの交響曲第88番「V字」、R.シュトラウスの交響詩「死と変容」、ブラームスの交響曲第3番、そしてワーグナーのジークフリート牧歌である。ワーグナー以外は1958年11月8/9日、ウィーンでの、そしてワーグナーは1949年8月30日、ザルツブルク音楽祭でのそれぞれライヴである。
 2枚組とはいえ、このセットにはCD-ROMもついていて、そこにはプログラムや写真等の図版が数多く所蔵されているため、実質的には3枚組と言っても良かろう。解説書も充実しているので、なかなかの力作と言える。
 ところが、このセットを手に取ってみると、不思議に思うことがある。それはジークフリート牧歌に「ステレオ」と表示されていることだ。ドリームライフのホームページを見ると、そこには「実験的なステレオ」とある。しかし、このセットには単に「ステレオ」と表示されているだけで、どういう意味での実験的なのものなのかに関する説明は全くない。実験的ということは、1949年のザルツブルク音楽祭でステレオ録音が行われていた、と誰もが思うはずだ。
 商業用の最初のステレオ録音は1955年に行われている。これ以前にもステレオ録音は行われていたが、一般的に最古のものとしては第二次大戦中、ナチス・ドイツが開発したとされるものが有名である。このステレオ収録については一部の文献にも記されていたが、比較的最近になってカラヤン指揮のブルックナーの交響曲第8番(ただし、第4楽章のみ)、ギーゼキングの弾いたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」という実物がすでにLP、CD化されている。さらには、トスカニーニのファイナル・コンサート(1954年)も実験的なステレオとして有名であり、このCDも現在入手可能である。
 しかしながら、1949年のザルツブルク音楽祭でステレオ録音が行われていたというのは全く初耳である。ヨーロッパで放送録音が実用化されたのは1960年代に入ってからである。そういうことを考えると、この1949年のステレオ録音というものは、録音史上においてもちょっとした事件であろう。
 こうした放送用録音のステレオ騒動と言えば、何と言っても1950年春の、フルトヴェングラーがミラノ・スカラ座に客演した際のワーグナーの「ニーベルングの指環」が有名である。イタリア・チェトラから1983年に発売されたこの全曲盤は、当初「オリジナル・ステレオ」と発表され、センセーションを巻き起こした。ところが、LPにカッティングされた音はまぎれもなくモノーラルで、情報の訂正にレコード会社、レコード店は奔走した。なぜこのような間違いが起きたか? それはチェトラのカタログに「2チャンネル・レコーディング」と記されていたことがその発端だったようだ。この表示のあるLPレコードはほかにもフルトヴェングラーがザルツブルク音楽祭で指揮したウェーバーの「魔弾の射手」、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」などがあったが、それらはいずれもモノーラルのカッティングだった。また、CD時代になって「魔弾の射手」には“ステレオ”と表示されたものも複数のレーベルから出たが、これらもすべて本物のステレオではなく、加工された疑似ステレオであることが判明している(この疑似ステレオの音そのものは意外に良いと思う)。
 いずれにせよ、ザルツブルク音楽祭でステレオ録音が行われたのではないかという未確認情報は以前からあったのは事実だ。そうなると、このジークフリート牧歌が初めての実例であってもおかしくはない。でも、出てきた音を聴いてみると、ちょっと首をかしげたくなる。教会で録音したような、ものすごく長い残響がある。「レコード芸術」の2009年3月号に誰かが「ザルツブルクの旧祝祭劇場がこんなに残響があるのは不自然」というようなことを書いていたが、確かにこれはいくら何でも不自然である。まあ、その残響は聴きやすく付け加えたとも解釈しても、方向感覚や各パートの定位などが全く聴きとれないし、音は一点から出ているようにしか思えない。これは明らかにモノーラルを疑似ステレオ化したものであろう。        
 しかし、疑似ステレオであってもステレオはステレオである。でも、この場合は誰もがその当時に行われたステレオ録音だと思うだろう。ドリームライフのホームページ上では「実験的」と書いてはあるものの、「“当時の”実験的なステレオ」とはなっていない。現代の技術を使用して加工しても実験的なステレオであることに変わりはなく、ホームページでの表記は虚偽とまでは言えない。けれども、この場合は非常に誤解を招きやすいものであるのは間違いない。それに、もしもオリジナル・ステレオであれば、その経緯に関して多少なりとも記述があってしかるべきだと思う。
 このジークフリート牧歌は、いわばオマケである。本編の1958年の公演について少し触れておこう。演奏そのものは過去に出ていたもので、初出ではないようだ。音質はちょっと聴くと鮮明だが、しばらく聴いていると弱音と強音の差があまりないことに気づく。それに第1ヴァイオリンと木管楽器が異様にマイクに近く、金管楽器や打楽器は逆に遠いので、演奏の全体像がいささか把握しにくい。このセット、資料的な点を考慮すれば、熱狂的なクナ・ファン向け、といったところだろうか。

♪♪♪♪♪

平林 直哉

*********************
クナッパーツブッシュは私は今ひとつ得意ではないんですね〜。
クナよりシューリヒトでしょう〜と思ってます。
まぁ芸風が全然対照的だから並んで評するのは適切ではありませんが。
ただちゃんとしたブルックナーの9番をできれば残して置いて欲しかったなぁ〜。
by concerto-2 | 2009-02-04 10:18 | サイト・ブログのご紹介 | Comments(0)