イェルク・デームス ピアノ・リサイタル
音楽文化会館で夜7時からおこなわれた
「イェルク・デームス ピアノ・リサイタル」
に行ってきました。
デームスさんといえばスコダ&グルダ&デームスというのがウイーン三羽烏と言われたものです。それも何十年も前!!
御歳79歳。まさかこの時に新潟でデームスさんを聞けるとは思っていませんでした。
そしてプログラムがすごいんです。
ハイドン:アンダンテと変奏曲へ短調
モーツアルト:ピアノソナタ第11番
ベートーヴェン:ワルトシュタイン
シューベルト:4つの即興曲作品90より2番3番
ブルックナー:思い出
ベルク:ピアノソナタ
デームス(自作):ひまわりの主題による変奏曲
ブラームス:2つの狂詩曲より第2番
アンコールは
シューベルト:楽興の時より第3番
シューマン:幻想小曲集より「飛翔」
デームス(自作):夕べの鐘
心中をお話しすると「いかに大巨匠とはいえ、さすがにご高齢。これは古きよき時代のウイーンの香りでも感じることができればよしとしなければ。。。」
と思っていました。
わかりやすくいうと、そんなに期待していなかったということです。
でも今回の満員のお客様もそんな大名演は期待されてなかったのではないでしょうか。
私と同じように。
開演、デームスさんご登場、元気な足取りで歩いてこられました。意外といっては失礼でしょうが、たいへんお元気なご様子。
ですが、、前半の古典派の演奏はちょっときつかったように思いました。
ニュアンスやタッチの妙はさすがですが、テンポがゆっくりでフォルムがちょっと崩れてないのかな。。って。まぁ私の素人感想ですが。
やはり過去の巨人なのかな。。。。とちょっと思ってました。。
がしかし!後半になって俄然デームスさんもアクセルが入ったかのようでした。
特に最初のシューベルトの2曲は耳を疑うようなすばらしい演奏。
思うに古典派の曲はかちっとしていないと崩れて聞こえますがロマン派以降の曲は多少テンポが落ちても個性ある表現の幅として気にならないのではないかなと思いました。
とにかく後半は少しも眠たくなりませんでしたね。ずっと目を(耳を?)みはる演奏が続きました。
さすがに技巧的なことでは苦しいところもあったとは思いますが、そんなことを充分カバーする気品ある音、柔らかな音色などなど。
さすが一流の看板をずっとしょってた実績というのはすごいものですね。
アンコールの1曲目もシューベルトでした。
私はこれで終わりだろうと思って心の中で「これでシューマンがあればなぁ~」と思っていたら、またご登場で「飛翔」!これはうれしかったです。
きっと最前列のほうで聞かれてた、やはり「飛翔」をレパートリーにしてたファンタジスタわたべさんも感激だったことでしょう。
ほんとうは最後は「歌の終わり」で締めてほしかったなぁ~とか贅沢なことも思いましたが、自作の「夕べの鐘」で静かに幕を閉じました。
この後半は実に味わい深い演奏でした。
ある意味新潟にとっては歴史に残る演奏会ではなかったでしょうか。
大きな音でがんがんくるのでなく技の音色で作り上げた演奏会。すばらしかったです。
来年80歳ということですが、これからもお元気でいてくださいと思いました。
ところでこの日、ブルックナーのピアノ曲が演奏されました。
ブルックナーのピアノ曲って全く知名度がないのですが、なかなかこれが!すばらしいんですよ。
1枚のCDにまとめられています。ピアノソナタや交響曲7番2楽章をピアノ編曲したものも収録されていてお勧めです。レーベルはBIS。演奏者は日本人の白神典子さん。
お勧めの1枚です。
CDといえば、このデームスさんが録音したシューマンのピアノ独奏曲全集13枚組が2千円弱で再発売されます。実は当店に入ってくるのは予約でいっぱいになったんですが、また増やそうかなと思っています。よろしければご用命ください。
と後半宣伝になってしまいましたが、とてもよい演奏会でした。ありがとうございます。