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コンチェルト2号感動の毎日 concerto2.exblog.jp

新潟市西堀前通1のギャラリー蔵織さんの中に移転しました。


by concerto-2

「ほんとうにありがとうございました」

タイトルを見てビックリなされた方もいらっしゃるかもしれませんが、当店が・・・・ということではありませんのでご安心を。まだ頑張り続けます(笑)
それにしても遂に発表になりましたね〜北光社さん。
(haruちゃーん、今度は北光社さんだよ。1月いっぱいだって。早く帰ってキナサーイ。)
でもこのことは以前から知ってました。ちょっとだけブログにもにおわせた事もあるんですけどね。
ただ最近若い店長さんが頑張ってらっしゃったんで、好転したのかな〜と思ってました。
残念。創業200年にもなろうかと言うお店でも、いやそういうお店こそ苦しいのでしょう。
こうなったら萬松堂さんをみんなで守りましょう!
私もTポイントとか言わずに貢献したいと思います!微力ながらですが。。

昨日の夜は、音文の小杉真二さんのリサイタルもある方からチケットあげるよと言われてお誘いを受けたのですが(アナウンサーO様ごめんなさいです)
向かったのはクロスパルでした。

午後6時半からクロスパルの映像ホールでおこなわれた
「女優 岡田茉莉子 自伝刊行記念講演」です。

日本女優界の大物、そして新潟にもとても縁のある岡田さんの講演会という事で会場は多くの御客様が入られてました。
そして岡田さんと公私ともにパートナーでいらっしゃる吉田喜重監督のお二人が登場。
約1時間ちょっとのお二人での講演でした。
最後にはウルっときてしまいましたよ。

講演会およその要約です。

*********
まずは最初の一言。
「雪の新潟に帰って来ました。」

岡田さんは疎開で新潟に越されて来て、6年を新潟市の西堀前9でお母さんとおばさんとの3人で暮らされてたそうです。
そしてそこから萬代橋をいつも歩いて渡って沼垂女子高等学校(現在は移転して万代高校さんに変わりました)に通われたのだそうです。

そして女優になろうとしてなったわけではない、そういう宿命みたいなものがあったのだとのこと。
まず岡田さんのお父様は東洋のバレンチノといわれたサイレント映画の大スター、岡田時彦さん、お母様は宝塚の女優。ちなみに名付け親は谷崎潤一郎なわけですが、お父様は肺がんではやくに亡くなられ、1歳5日の時だったので記憶にも無い。
それにお父さんが俳優だとかいうことすら伏せられていたまま育てられたんだとの事です。
それが沼垂高校時代演劇部に入られてて、その部のお友達と古町の下の方にあった映画館にたまたま入った、というのもポスターを目にしたお友達が「観ようよ」ということで偶然見た映画。
それが岡田時彦さん主演の「滝の白糸」。
そして家に帰って夕ご飯の時に「今日滝の白糸という映画を見たんだよ」と話したらお母さんとおばさんの顔色が変わり、その時に実はその俳優さんが父親だという事をその時初めて教えられたんだそうです。
翌日今度は一人で再び観に行って「あぁこの人がお父さんなんだ」と見ていた。どういう人なのかと見ていた。とても不思議な感情を覚えた。。それが宿命の始まり。
でもその時でも自分が女優になりたいとは思っていなかったそうです。
後に映画界にデビューした際には岡田時彦の隠された娘として売り出されるわけですね。それは後の話ですが。

そして東京に戻った時になにか仕事を見つけなければと思った時に、親戚のおじさんが宝塚会館の支配人をされてたのだそうです。
そのつてで東宝に女優として入社。
でも高校は女子校ということもあったし、元来人見知りな性格の為、男性社会であった映画界に身をおくのはとても辛かった。やめたかった。どこに行っても言われるのはお父さんの話ばかり。18歳の身ではほんとうに辛かったそうです。
でもお母さんに10年はやってみなさいと言われ続けてみて。それで10年経ってみたら面白さがわかりました。
そしてその時代というのは「映画の良い時代」だったのも幸いでした。

その当時、吉田喜重監督と運命的な出会いをされるわけです。
そこでつくられたのが名作と言われる「秋津温泉」。
そしてお二人はご結婚もされ、また独立もされてプロダクションを設立する事になるのです。

その秋津温泉の中では忘れられないシーンがある。
それは玉音放送を聞くシーン。
岡田さんの現実の体験では、夏の暑い日に住んでいる西堀前一帯の人達やさらに多くの地域の人達に号令がかかって、赤塚のほうに集まるようにとのこと。
約16キロ歩いていったんだそうです。赤塚と言えば旧新潟市の一番はずれの方ですよね。
赤塚に着いても2、3日またされ、そして集合させられ聞いたのが玉音放送。
撮影の時もその時の事が浮かんだそうです。
実際に放送を聞いた時の感想は、今でこそ言えますが「ほっ」としました。
そういう意味でもこの秋津温泉という作品は忘れられない作品なんだそうです。

独立をした後は、それまでとは全く違う女性像をもった作品を演じる事が出来た、それが今まで女優という仕事を続けて来られた糧となっている。
吉田監督に感謝してます。とのこと。

吉田監督もお話もたくさんお話をされました。
監督のお話。
映画というのは危険な所を持っている。
あくまでも映画はスクリーンにうつったものを御客様が見て自分自身でいろいろな意味のような物を考える。
それが本来のあり方。
でも作り手がとかく語る場合があり危険である。それは押しつけになり、一方的に観客に押し付けることになる。とても危険である。
自由に見る人が自由に意味を作り出す。
そういうものを目指した。

現在の日本映画は危うい面がある。
特に主点が全て男性におかれている。女性を表現出来ていない。
それをなんとか逆転させて、女性が優位になり男性を見返す。そんなものを作りたいと思っていました。

なぜそう思うかと考えた場合。
いつも私は女性に助けられた。お母さんを2歳の頃に亡くしたため母親代わりはお手伝いさんがしてくれた。
その後はお父さんの再婚された新しいお母さんがとてもよくしてくれた。
その二人にとって自分は待ったくの他人であったにも関わらず。
偉大なる他人によって助けられた。
そして今では岡田茉莉子という偉大なる他人によってです(笑)
とても仲の良いご夫婦です。

また、岡田さんのお話に戻りますが
なぜ自伝を出すのか。
ということですが、女優というのはいつも受け身な仕事です。
でも自分が行きて来た素晴らしい時代の映画界というものを残して置きたかった。
もちろん、これで終わった訳では無くてあくまでも「これまでのところの自伝ですよ」と会場からも笑いをさそっていました。
とてもなごやかな講演会でした。

と、ここまでは私もふむふむ。。と思って聞いていました。
すごかったのはそれから。

最後にステージから去られる時にお二人が客席に挨拶をされ、最後に岡田さんが言われました。
マイクを使わずに。。

「ほんとうにありがとうございました」

この一言がグッと来ました。
とても文にはできません。一流の俳優は料理のレシピ本を読むだけでも人を感動させると言いますが
ほんとうに感動しました。こんなに心を打つ「ほんとうにありがとうございました」は私の人生の中でも聞いた事がありません。
単に声が大きいというのでもありません。
私が思い出したのは祖父の葬式の時で出棺の時に、それまで気丈でいた祖母が「もうすぐ(自分も)いくから待ってて下さいね」と語りかけたことがあって
私には忘れられない一瞬でした。
それを思い出しました。
ほんとうに心をうった一言でした。女優の言葉に心をのせるというのはこういうことかと感動しました。
この一言を聞けただけできた価値がありました。

「ほんとうにありがとうございました」

こちらこそ本当にありがとうございました。
素晴らしい一瞬をありがとうございました。

岡田さんの自伝はもうお発売になっています。
その中にある写真で寄居浜に佇む子供の頃の写真があるそうです。
当時の女の子がどう生きていたかを感じてもらえる写真になっているそうです。

あとシネウインドでは1月8日まで岡田さんの映画の上演がおこなわれています。
私も月曜日は行って来ようと思っています。

さてではこれから新潟ウインドさんのマーラーを聴きに行って来ます!
Juneさんごめんなさい!頑張って下さい!
2時から県政記念館でJuneさんのミニコンサートがあります。
「ほんとうにありがとうございました」_e0046190_13362.jpg

ぜひ暖かくして聞きにいかれてくださいね。
Commented by haru at 2009-12-20 16:10
げっ。まだ雪降ってるんですね。
じゃなくて・・・次は北光社さんですか。
まぁ確かに北光社より、萬松堂のほうに行ってましたが・・・。
大和も向かいの北光社もなくなっちゃったら、いったいどうなるんだ古町!!
そんな古町で正月は飲みますけどね。貢献しないとw
あ、ちなみに新潟の第九って、27日でしたっけ?
もう売り切れちゃってるんですかね?
Commented by concerto-2 at 2009-12-20 18:59
haruちゃーん。。はよ戻って来て一緒に雪かきしよてば(笑)
昨日は青空も出たんだけど今日は雪。そして暴風。
も〜最悪っすよ。。。
正月は古町で飲み会?お〜どんどんボーナスを使ってたも〜〜さすがはIT産業(笑)
第九を向こうで聞いて戻って来たら良いですよ。
今天候が最悪な分、これからはお返しとばかりによい天気になるといいですね。
気を付けて帰ってきなせや。
by concerto-2 | 2009-12-20 13:03 | 舞台・演劇などのこと | Comments(2)